整形外科診療の特色
整形外科全般に対応いたしますが、以下の点に力を入れております。①子どもの運動器疾患に対応いたします。
成長期のお子さんには、怪我や成長痛、スポーツ障害その他、骨格にまつわるトラブルがしばしば見られます。その多くは問題なく治るものですが、中には早く発見して適切に治療しないと後遺症を残して将来的にハンディキャップとなるものもあります。乳幼児期には、股関節脱臼やO脚、X脚、足の変形など、幼児期後半から学童期にかけては股関節炎、ペルテス病など股関節の疾患など、学童期から思春期にかけてはスポーツによる故障や怪我など各年代でさまざまなトラブルが想定されますが、それぞれを的確に診断し対応させていただくことでお子さんや親御さんの悩みや心配事にお応えできるよう努めます。もしも専門的な検査、治療が必要となった場合には前の勤務先である滋賀県立小児保健医療センターと連携させていただく体制をとっております。
ご興味のある方は、“子どもの運動器疾患について”の項をご参照ください。
②きず、やけどに対する湿潤療法を行っています。
従来、傷には消毒薬を塗る、ガーゼで覆う、乾燥させて治すことなどが常識とされていましたが、近年、傷には消毒薬などを一切使わず湿潤な環境で治すという新しい考え方が徐々に広まりつつあります。湿潤療法を最初に提唱し、熱心に普及活動している東北大学出身の形成外科医:夏井 睦先生のウェブサイト「新しい創傷治療」 のリストに当院も掲載されています。本治療の一番の利点は、痛みや苦痛がほとんどないことです。さらに、従来の方法よりも速やかに治り、多くは皮膚移植などの手術を要することなく通院で治療できます。
私は10数年前にこの治療法と出会い、以来ずっとこの方法を実践してきましたが、そのすばらしさを実感しております。ただ、残念なことに傷・やけどの治療を専門とする皮膚科や形成外科の学会でもまだこの治療は正しく認知されておらず、大学病院や総合病院などでこの治療を受けることはなかなか難しいようです。学問の中でもとりわけ医学は保守的な領域もあり、新しい考え方が受け入れられるまでに極めて長い時間を要すことが往々にしてあります。医学界であれこれ論争しているのをよそにマスコミや企業がいち早く湿潤療法の良さを認め、一般の方々に向けて早くから情報が発信されていますし、家庭で湿潤療法ができる商品も次々に開発、販売されております。
③リハビリテーションに力を入れております。
当院では、理学療法士による運動器、脳血管リハビリテーションも行っております。身体にハンディキャップを持つ方へのリハビリテーションにも力を入れており、幼少期からの脳原性運動障害(脳性麻痺など)、脳卒中や頭部外傷の後遺症としての運動機能障害などの治療も可能な範囲で対応させていただきます。また、スポーツ外傷、障害から復帰するためのサポートや故障を予防するための身体の使い方などについてもアドバイスいたします。
④関節リウマチの診療も行います。
関節リウマチは、働き盛り年代にみられ、男女比は1:2と女性に多く、女性100人に1人が発症するといわれています。進行すれば身体的なハンディキャップとなる恐れがありますが、未だに原因は不明であり、予防法も確立されておらず、この疾患の有病率は過去40年間でほとんど変化していません。最近ではメトトレキサートの普及に加えて、生物学製剤(いわゆるバイオ)という大変有効な薬剤が次々と発売されており、治療成績は格段に向上しております。当院では、関節リウマチの診断、通院で行える各種治療に対応させていただきます。
⑤外来小手術を行なっています。
予約制で以下のような手術を行なっております。1) ばね指(狭窄性腱鞘炎)、ドゥケルバン腱鞘炎などに対する腱鞘切開術
2) 良性皮膚腫瘍などの摘出術
例: 粉瘤(アテローム)、疣贅( イボ )、脂肪腫、黒子(大きくて目立つホクロ)など
3) 巻き爪(陥入爪) : 爪の形成や形状記憶ワイヤーによる矯正など、病状やご希望に応じて使い分けています。
その他、局所麻酔で対応できる手術は随時承りますので気軽にご相談ください。
大半の手術は30分以内に終了し、すぐに徒歩や交通機関、マイカーなどで帰宅頂けます。
ホクロなどを切除した際に皮膚欠損が生じたら無理に縫合せず、湿潤療法を行う場合もあり、安全かつキレイに治すことを心がけています。
粉瘤(アテローム)は、化膿している時期には手術が出来ないと断る医療機関も多いですが、当院ではそのような状態でも安全に治せるノウハウを持っております。